「テキストサイト界隈の衰退」という表現は正しいのか

 06年後半だったろうか。「Flash板(を中心とした界隈)の衰退」的な文章がよく上がってきていた。その一年前の05年はFLA板にとって波乱の年であった。のまネコ問題により板が荒らされたこと。そしてMUZO結成。商業路線への挑戦は価値のあるものであったとは思うが、同時にFlash紅白の分裂(闇鍋とslashupとnaname up)を招いてしまった。そしてyoutubeの登場。「Flash板(を中心とした界隈)の衰退」にははっきりとした原因がある。
 
 それに比べてテキストサイト界隈の場合は「衰退した」とよく言われるが、その原因がFLA板の時と違って、はっきりしない。「侍魂とちゆの更新頻度激減」「テキストサイト2chにおける拠点であったネットウォッチ板ネトゲ勢力に乗っ取られた」など、無理やりひねりだせば他にも色々出てくるが、どれも決定打とはいえない。テキストサイト界隈の場合は「気が付いたら話題に上がらなくなっていた」という状況だ。
 
 テキストサイトブームの01年〜02年と比べ04年以降は人口が減っているとして人口を基準に考えれば「衰退した」というのは確かにそうだ。だがテキストサイトブーム後に消えたサイトは多くが弱小であり、大手サイトはブーム後も多くが生き残っている。
 ・Flash紅白は07年に復活し08年も行われたが、旧Flash紅白の職人は殆ど参加していない。
 ・08年末に行われたテキストサイトサミットと紅白日記合戦はテキストサイトブーム期の大手サイトがいまだに多く参加している。
 FLA板(を中心とした界隈)との一番の違いはここだと思う。FLA板は中心的な職人の多くが消えていった。テキストサイト界隈の場合は中心的サイトの多くが残っている。
 
 つまりテキストサイトブームが終わり、去って行った者達は「ただ単になんとなく流行りに乗っかっただけの人間達(代表的なのは侍魂模倣サイトか)」が大半であり、そんな者がいなくなったところで「衰退」と言ってしまうのはおかしいいんじゃないかと。
 
 「成熟化」が正しいのではないか。
 
 「ネットの話題によく上がっていたテキストサイト界隈」から「あまり話題に上がってこないマイナーコミュニティへ」。それを衰退と表現することを間違えているとは思わない。指標の取り方によっては衰退となるだろう。しかし自分がまとめページを作る為に色々調べていくにつれ、古参の大手サイトが未だに更新を続けており、イベントも行われている現状を見るに、テキストサイトブーム終了以降を「衰退」という言葉で表現することに抵抗を感じ始めたのは事実である。「もっといい表現の仕方があるのではないか」そう考えるようになった。