「バーチャルネットアイドル(VNI)界はあれからどうなったのか」を補足してみる。

バーチャルネットアイドル(VNI)界はあれからどうなったのか - Timesteps
これは『Timesteps』の文章。中杜カズサさんだね。12月11日に書かれた出来立てほやほや文だ。で、せっかくVNIのことについて書いた人が出てきたのだから私なりに補足をしようと思う。
 
VNI勢力はテキストサイト界のなかでも特に大きな派閥だった。まずは中杜カズサさんの文章を読んで欲しい。読んだかな?。ではVNIの流れを超簡単におさらい
■ちゆ登場
■ちゆが裏ニュース効果で有名に
■ちよ74歳を皮切りにVNIクローンが多数登場
■ROブームにより一部のVNIクローンがROVNIに鞍替え
■ROVNI大量発生
■ROVNI騒動→ほかん庫閉鎖
■テキッ娘。の挫折
とこんな感じ。まあほかにも細かいところとしては「VNI血祭り事件」とか「VNICTPの仲間割れ」とか色々ある。
自分の作った年表にはこのへんは全て網羅されているので興味がある方は見ていただければと思う。ただし年表からは近々削除する予定で、その代わりに「テキストサイトブームのまとめページ」を作ってそこに載せようと思ってるわけだ。
 
で、自分はこのVNIの流れはテキストサイトを考察する上で非常に重要だと思っている。なぜなのか。テキストサイトって流れをたどれば『日記リンクス』までさかのぼるわけで。つまりナローバンド時代の文化。テキストサイトの強みはファイル容量が小さいということ。ナローバンドに適応した文化といえる。そして「テキストサイトブーム」っていうのはナローバンド時代の文化の集大成的出来事なんだ。
 
テキストサイトブーム」というのは2001年ですと。このときインターネットには大きな時代の変化がおき始めていた。それっていうのはADSLを中心とした「ブロードバンド」の普及。常時接続が当たり前となり、回線は高速になりました。この流れは当時のテキストサイト界でも意識されていた。つまりこういうこと
 
 「ブロードバンドの普及により新たな娯楽が生まれ、人がテキストサイトから新たな娯楽に流れてしまうのではないか」
 
書籍である「テキストサイト大全」にはこう書いてある。
 

 「(ファイル容量が小さいということは)テキストサイトが持っていた大きなアドバンテージだった。しかし高速回線化した今はすっかりそれも武器ではなくなってしまった」

 
興味のある人は読んでみるといいかも。ちなみに「テキストサイト大全」では対策として「(回線の弱い)携帯電話に進出する」というようなことが書かれている。
 
さて2002年、VNIクローンの幾つかがROVNIに鞍替えたことをきっかけにROVNIが大量発生。これは非常に重要な出来事だ。なぜなのか。それは
 
 「ナローバンド」から「ブロードバンド」への変化が形になって現れた出来事だから。
 
テキストサイト」というのはナローバンドに適応した文化。ROVNIはVNIというものの実態としてはテキストサイトではなく「ラグナロクオンライン日記サイト」。「ラグナロクオンライン」はブロードバンドの普及に伴うMMORPGの本格普及の流れに乗って現れた。つまり「VNIからROVNI」へという変化は「ナローバンドからブロードバンドへ」という流れそのものなんだ。
 
さらに言うとROVNIの大量発生はROVNI騒動につながり、結果として『VNIほかん庫』が閉鎖を発表するにいたり、VNI勢力衰退への道を作った。つまり、
 
「ROVNI」という「ブロードバンドの申し子」

「ナローバンド時代の文化の集大成であるテキストサイト」の中でも大勢力であるVNI
を潰した。
 
だから「テキストサイトブーム」を「テキストサイトの大量発生」と定義するならばROVNI騒動は「終わりかけていたテキストサイトブームに止めを刺した」ということなのではないだろうか。もっとも、ちゆがバリバリ更新をしていれば状況は大分変わったのだと思うが。(この頃のちゆは更新速度がかなり落ちていたし、変なことをやっていた。)
 
ただしVNI勢力は死んだわけではなく、03年に『テキッ娘。』というサイトが登場した。このサイトはVNIの集大成と言っていいサイトで、釜本雪生氏一人で5役を演じるというとんでもないことをやっていたサイトなのだが、まあ色々あって短命に終わってしまった。いまやVNI勢力はかなり小さくなってしまったが、もし『テキッ娘。』が無事育って、VNIを引っ張っていくようなことになっていれば歴史はまた変わったのかもしれない。
 
 
さてこれが一部ではあるがVNIの歴史である。流行ったものには理由がある。VNIフォーマットはすっかり廃れてしまったが、自分は今でもVNIフォーマットはなかなか優れたフォーマットだと思っている。皆が忘れたころにVNIフォーマットを使った大物サイトが現れるなんてことがあるかもしれない。そのときを楽しみに待とうではないか。